きっとそれはなおす人の心。

少し前に前歯が欠けて以来、歯科医に通っている。

他にも治す歯が見つかったから仕方なく行くわけだけど、僕はとにかく歯科医が嫌いなのだ。

オイオイオッサンがなに言ってんだよ!みたいな話なんですが、僕は口の中になんかいろいろされるのがスゴく苦手。

幼少期のなんか怒ってばかりいる歯医者・・。

最近行ったとこでも投げやりな歯科医。。

なんかそういうのがあって、もう、嫌で仕方がない。

とにかく心は沈んだまま座席について治療を受ける。今回もそう。

もう、死人のようにジッとしてようと思っていたくらいだったんだけど。


治療中はタオルが目のとこに置かれていて何も、ってわけじゃないけど、まぁよく見えない。

なので自分の中を見つめるような感じでジッとしていたんですが…。


そう言えば知り合いが日本画家でしてね…

えっ?
この声は歯科医の先生⁈

絵の具が、高いみたいですねえ…

おおっ?美術の話が始まったぞ。
なんでだ?と考えるが、そうか診断表に職業美術制作とか書いたもんな。

そこからわざわざ拾って話しかけてきてくださってるのかもしれない。


「絵の具、高いみたいですね…。なんかそう聞きますよ。僕は彫刻なので、歯科医さんの道具とか接着剤とかが気になります」

おお?そして喋っているのは自分。
少々驚くが美術の話を振ってもらえて、急に心が軽くなった気がしたんだよな。


思えば。僕の仕事もそうじゃないか。

直したりする仕事を受ける時、それは自分ではできないから僕を呼んでもらったりして

始まる仕事なんだけど、そんな時に呼んでくれた方が僕に結構言われるのが

ごめんね」「すいません」「こんな事で呼んでしまって・・

などという言葉だったりする。

少なからず緊張したり、申し訳なさそうだったりするんだけどね。

いやいや、仕事で呼んでもらってるんだからありがたいってのしかないし

そんなに謝るとかは無用なんですよ、と僕から言うもののなかなかその感じは

残ったまま進んでいったり。


そんな時はどうするか。

雇い主さんの緊張を解くためにいろんな話をする事にしているんだ。

仕事に絡んだ僕の経験したエピソードや、最近思ってる事、笑える話やらなんやら。。

そうやって、雇い主さんの心をまずほぐして、それから直す仕事に入ったりする事が多いですね。

その直らなかったとこを僕が直して『田原、スゴい!!』とかそういう事じゃないんですよ。

雇い主さんの気持ち自体を良くしていく事が、本当の作り、直す人のやり方なんじゃないのかなぁって思うのです。

ま、今回は普段忘れてるわけじゃないけどわざわざ言語化してなかったので埋もれかけていたそれを、逆に歯科医の先生に気づかせてもらったって感じですね。

ありがたいことですな。

治療後、歯科医の先生はチューブみたいなのを持って来てくださって

これは歯を治す材料です

と見せてくださった。その材料はレジン。紫外線を当てるとすぐに硬化が

始まる素晴らしき材料。

目の前でちょっとチューブから出したレジンに紫外線を当ててもらい硬化を見る。

おおお、ホントにすぐ硬まってんな!!

少し前は、こういう歯に詰めたりするものは2液混合のエポキシ性だったらしいが

モタモタしてると固まるので使用に大変なとこがあったけど、このレジンは革新的!

なものだそうですよ。


再々。

治療終わってるのに先生と素材についていろいろ話す。

しばらく話して、ではまた次回!と言われ、僕もその場を去る。

あれ?ふと思うと心が軽い。どうも上手く心を融きほどいてもらったようだ。。


で、先ほどの硬まったレジンのかけら。

もらってもいいですか?と聞いていただいてきました。

これを見ながら歯を治していこうかね。


いろんな事を考えながらね。








Tahara Koji/Works,Photo,Idea..

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